韓国eSIMは地下鉄ならほぼ安定しKTXと山道では途切れやすくなる

ソウルと釜山の地下鉄では、モバイルデータはたいてい地上とほぼ同じようにつながります。途切れやすいのはKTXとSRTの車内で、国立公園の登山道やフェリーの上については、公式の数字が大まかすぎて「電波がある」前提で動ける根拠になりません。 韓国政府の通信品質評価から読み取れるのはこういう姿で、ケダントの韓国eSIMも評価の対象になった通信会社のうち2社の網を使うので、同じ前提で考えられます。
この記事は、科学技術情報通信部の2024年・2025年の通信サービス品質評価、韓国鉄道公社(KORAIL)の報道資料、韓国観光公社の列車案内ページ、国立公園公団の安全案内ページをもとにしています。いずれも2026年9月30日に確認しました。
ケダントの韓国eSIMはどの通信網につながるのか?
SKテレコムとLG U+の5Gです。 ケダントの韓国ページに、15種類の商品がある韓国eSIMはこの2社の網につながると書かれています。データ専用なので韓国の電話番号は付かず、通話もできません。普段の番号への電話やSMSは、いま入っているSIMにそのまま届きます。
後半で効いてくるのが、政府の報告書にある「共同網」の話です。韓国の農漁村の一部では、通信3社が5Gを建てる地域を分担し、互いの設備を共用しています。科学技術情報通信部によると、世宗・忠清南道・慶尚南道などはSKテレコム、慶尚北道・江原道はKT、全羅南道・全羅北道・済州の一部はLG U+が受け持っています。高速鉄道の一部区間も同じように共用です。つまり、SKテレコムやLG U+の回線を使っていても、いつも自社のアンテナにつながっているとは限りません。
両社が公開しているカバレッジマップの場所と、地図の色がそのまま保証にならない理由は、済州島の記事に書きました。
ソウルと釜山の地下鉄でデータはどのくらい安定しているのか?
おおむね安定していて、弱い区間は一部に限られます。 科学技術情報通信部と韓国知能情報社会振興院(NIA)が2025年12月30日に発表した2025年の評価では、高画質ストリーミングに必要な100Mbpsを基準にすると、地下鉄の5Gは98.56%の測定でこれを満たしました。屋外全体の98.1%をわずかに上回ります。地下鉄で測った5Gの平均下り速度は928.67Mbpsでした。
報告書は、基準に届かなかった区間も名前を挙げています。5Gの測定値のうち12Mbps未満が10%以上あれば「品質不十分」という判定です。評価対象600か所のうち、地下鉄では13区間がこれに当たりました(SKテレコム6、KT6、LG U+3、重複あり)。首都圏の1号線の複数区間、9号線の旧盤浦(クバンポ)〜銅雀(トンジャク)、新盆唐線の江南(カンナム)〜新論峴(シンノニョン)、釜山2号線の護浦(ホポ)〜甑山(チュンサン)などです。
LTEではもっと多く、地下鉄44区間で、釜山1号線の凡内谷(ポムネゴル)〜斗実(トゥシル)のあいだの複数区間も入っています。ここでいう「不十分」は、遅くなる頻度が目立つという意味で、圏外という意味ではありません。駅と駅のあいだで地図やメッセージの表示が数秒遅れ、次の駅で追いつく、という程度を想定しておけば十分です。
地下鉄のWi-Fiに頼れるのか?
当てにしないほうが無難です。 同じ2025年の報告書では、地下鉄Wi-Fiの平均下り速度は67.0Mbpsでした。多くの路線はLTEの無線回線でWi-Fiをつないでいて、5Gの無線回線を使う首都圏3・4号線や仁川1・2号線などは150〜200Mbps程度だったといいます。報告書は地下鉄Wi-Fiを「商用Wi-Fi」に分類し、その通信会社の加入者だけが使えるものと説明しています。旅行者向けeSIMがここでいう加入者に当たるのかは確認できなかったので、地下鉄では自分のデータ回線が頼りです。
KTXとSRTではどこで途切れやすいのか?
2025年の評価で、高速鉄道が100Mbps基準を満たしたのは81.44%で、地下鉄の98.56%を大きく下回りました。 高速鉄道の車内で測った5Gの平均下り速度は393.01Mbpsで、測定したどの場所の種類よりも低い数字です。5Gで基準に届かなかったKTX・SRTの区間は19か所あり、多くが京釜線と湖南線にあります。
KTXでは、光明(クァンミョン)〜天安牙山(チョナンアサン)、天安牙山〜五松(オソン)、五松〜大田(テジョン)、大田〜金泉亀尾(キムチョン・クミ)、金泉亀尾〜東大邱(トンテグ)、東大邱〜慶州(キョンジュ)、慶州〜蔚山(ウルサン)、楊平(ヤンピョン)〜西原州(ソウォンジュ)、井邑(チョンウプ)〜長城(チャンソン)などが挙がっています。SRTでは密陽(ミリャン)〜進永(チニョン)や公州(コンジュ)〜益山(イクサン)などです。前年に指摘された19区間のうち14区間は改善しましたが、天安牙山から五松・大田を経て金泉亀尾に至る区間など5区間は改善していませんでした。
科学技術情報通信部は、問題が主に通信会社どうしで網を共用している区間で起きていると説明しています。SKテレコムやLG U+を使っていても避けて通れないのはこのためです。計画としては、2026年3月までに京釜線・湖南線の主要区間、2026年12月までに京釜線・湖南線の全区間、2027年12月までに高速鉄道の全区間を改善するとしています。2026年9月30日時点で、3月の段階が達成できたかどうかを示す公表結果は見つかりませんでした。指摘した区間は翌年の評価で改善を確かめる、というのが政府の説明です。
報告書はトンネルごとの結果を出していないので、この記事でもトンネルだけが原因だとは書きません。はっきり言えるのは、ソウルから大田・大邱・釜山方面へKTXで向かうと、地下鉄のどこよりも接続が遅くなったり止まったりしやすい区間をいくつも通る、ということです。
KTXの無料Wi-Fiで穴を埋められるのか?
埋められることもありますが、Wi-Fiも同じモバイル網を通っています。 2026年8月7日に更新された韓国観光公社の列車案内ページは、KTXとSRTのほぼすべての列車で無料Wi-Fiが使える一方、状況によって接続が不安定になることがあると書いています。
そのWi-Fiがどうインターネットにつながっているかは、KORAILの2022年2月16日の報道資料にあります。KORAILは移動通信会社と協力していて、2017年から複数の通信会社と提携し、1社のサービスが止まってもWi-Fiが途切れないようにしてきました。さらに、二重化した通信会社の回線のうち速いほうを乗客に回す負荷分散の仕組みを導入するとしています。列車のWi-Fiが外とつながる経路もモバイル回線なので、電波そのものが弱い区間ではWi-Fiも粘れないと考えるのが自然です。別の網ではなく、もう一本の経路くらいに思っておくのがちょうどいいでしょう。
発車前のホームで済ませておきたいこと:
- 乗車券を開いておく。 予約したアプリで表示し、号車と座席番号を控えます。韓国観光公社は、KORAILのウェブサイト、KORAIL+アプリ、NAVER、KakaoTなどで乗車券を買えると案内しています。
- その先の移動をスクリーンショットしておく。 到着駅での乗り換え、出口、行き先の住所(韓国語表記)です。
- 大きなダウンロードは駅で始める。 五松と大田のあいだで始めないようにします。
都市間バスや高速バスではどうか?
政府はバスが走る高速道路を測っていて、結果は鉄道より良好でした。 2025年の評価で、高速道路は5Gの100Mbps基準を97.12%で満たし、5Gの平均下り速度は585.42Mbpsでした。LTEについては、ビデオ会議に必要な45Mbpsを基準にして79%です。
どの都市間バス・高速バスにWi-Fiがあるのかを示す公式ページは見つからなかったので、この記事ではバスのWi-Fiを前提にしていません。長距離バスでも、乗る前に到着ターミナルの名前とその先の経路を保存しておけばKTXと同じように動けます。
北漢山などの国立公園の登山道で電波は入るのか?
北漢山を含め、個別の登山道についての公式の数字はありません。 いちばん近いのは2024年12月30日に公表された2024年の評価です。電波が届きにくい41か所、つまり国立公園の登山道10か所、フェリー航路10か所、離島20か所、海岸道路1か所を測っていますが、対象はLTEと3Gだけで、5Gは測っていません。登山道でのLTEの平均下り速度は88.20Mbpsでした。平均値は測定した人が歩いた場所に電波があったことを示すだけで、尾根や谷のどこでもつながるという意味にはなりません。
国立公園公団が公表しているのは、スマホがつながらないときに自分の居場所を伝える方法です。同公団の安全案内ページによると、登山道には約500mおきに多目的位置標識が立っています。標識には現在地を特定できる番号と、公園事務所・最寄りの119救助隊の電話番号が書かれています。標識の上部には主な登山コースや近くの公共交通を案内するQRコードもありますが、開くにはもちろんデータが要ります。
韓国の国立公園24か所のうち23か所を国立公園公団が管理していて、北漢山もそのひとつです。済州島の漢拏山は済州特別自治道の管理で、予約や入山時刻の決まりが別にあります。詳しくは済州島の記事にまとめました。
登り始める前にやっておくこと:
- 登山口の案内図を写真に撮り、帰りのバス停や地下鉄駅までの経路もスクリーンショットしておく。
- 通りがかりに標識の番号を見ておく。 何かあったとき、最後に見た番号がすぐ言えるようにします。
- 通話できる回線を残しておく。 119への緊急通報には音声通話が必要です。たとえば普段のSIMのローミングがそれに当たります。ケダントのeSIMはデータ専用です。
韓国で使える地図アプリと、事前に保存できる範囲は地図アプリの記事で比べています。
離島やフェリーの上ではどうなるのか?
2024年の評価で、電波が届きにくい場所のうちLTEがいちばん遅かったのはフェリー航路でした。 LTEの平均下り速度はフェリー航路で67.77Mbps、離島で92.72Mbps、海岸道路で130.12Mbpsです。登山道と同じく、ここでも5Gは測っていません。2025年の評価では、農漁村全体で5Gの100Mbps基準を満たした割合は96.05%で、大都市の99.08%より低くなっています。
船で日帰りする日は、電波がなくても見られる形で次のものを画面に残しておくと安心です。フェリーの乗船券か予約番号、帰りの最終便の出航時刻、ターミナル名の韓国語表記、宿の住所。天候で運航が変わることがあるので、その日の運航状況は、しっかりつながるうちに確かめておきます。
この記事で確かめられなかったことは何か?
旅行者が知りたいことのうち、2026年9月30日の時点で公式の答えが見つからなかったものがいくつかあります。
- 北漢山や漢拏山など、名前を挙げた特定の登山道の電波状況
- KTXで遅くなる区間のうち、トンネルが原因の部分がどれだけあるか
- 京釜線・湖南線について政府が掲げた2026年3月の段階が達成されたか
- 旅行者向けeSIMで通信会社の地下鉄Wi-Fiにログインできるか
- どの都市間バス・高速バスにWi-Fiがあるか
どれも推測で埋めずに外しました。現地で答えがわかっても、ここまでの備え方は変わりません。つながる網を知っておくこと、必要なものを保存しておくこと、通話できる回線を残しておくことです。
電波が怪しい日の前にスマホに入れておくものは?
短くまとめると、開いてスクリーンショットした乗車券、列車・バス・船の帰りの最終時刻、韓国語の住所、登山道の案内図の写真、そして充電済みのバッテリーです。電波が戻ったのにページが開かないときに見る設定は、eSIMはオンなのにネットにつながらないときにまとめました。列車で動画を見続けてデータを使い切りそうなら、毎日補充タイプと総量タイプがそれぞれどうなるかをデータを使い切ったときで説明しています。商品は韓国のページに並んでいます。
釜山までKTXで行く日なら、準備の大半は列車が動く前に終わります。ソウル駅を出る前に乗車券を開き、釜山駅からホテルまでの道をスクリーンショットし、ダウンロードはホームで終わらせておく。五松を過ぎたあたりでページの読み込みが止まっても、旅の予定は何ひとつ困りません。
データは出発前に用意を
SIMはそのままで、データ回線を1つ足すだけです。普段の番号は今のSIMに残ります(海外で電話やSMSを受け取れるかは、ご契約の通信会社のローミングによります)。
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